宗教や心のこと

宗教や心について、考えたこと

百億の昼と千億の夜

(この漫画版を読んだのは中学に上がる前後であり、随分昔のことです。手元に無いので記憶を頼りに下記を書いています。細部に誤りがあるかもしれません。)

主人公は阿修羅王といって中性的な少年です。準主役として同志となる気弱な青年シッタータ(釈迦)と老哲学者プラトンが、敵役としてヤクザな中年男ナザレのイエス(イエス キリスト)や帝釈天らが登場し、時代と場所を変えながら物語が進んでいきます。

彼らの生きる宇宙は、時間・空間・物理法則を超越した惑星開発委員会の研究者たちによって創生されました。創生の目的は、宗教の発生と変遷を観察することでした。彼らにとっては地球の人間など、水槽の中のミジンコ以下の観察対象に過ぎません。

転輪王」はそんな惑星開発委員会の研究者たちと同じ絶対者なのですが、惑星開発委員会に隠れて阿修羅王たちに人ならざる能力を与えます。

能力を与えられ、一ヶ所に集った阿修羅王たちは、惑星開発委員会に乗り込むことを決意し、ナザレのイエスらの妨害を受けながらも最終地点に辿り着きます。

ラストでは、阿修羅王が天空からの惑星開発委員会の研究者たちの声を生で聞きます。「あの変なよく動くものはどうした?」「ああ、緩和剤を入れたのに変だな。」阿修羅王はフラスコの中で動き回る小さな粒子のような扱いです。そこで阿修羅王は考えます。我々の宇宙の外側には、我々の宇宙を包括する大きな宇宙があり、その大きな宇宙の外側には、その大きな宇宙を包括するさらに巨大な宇宙があり・・・

このくだりを読んだとき、中学に上がる前後くらいの年齢だった私は、大きな衝撃を受けました。

この作品では他にも、

プラトンの、「シンセイウンキソウタイヨウ(中略)なぜ惑星開発委員会が実在すると説かなかったのだ!なぜ!」

阿修羅王の、「それが道か!」、(釈尊に対し)「一人で不安でいるよりは悪とともにあった方が良いとみえる」

などの台詞をよく覚えています。思えば最初に「宗教って何だろう?」と考えたのはこの漫画を読んだ時でした。