宗教や心のこと

宗教や心について、考えたこと

長生きする時代

本日1月16日は浄土真宗の祖師親鸞聖人の命日です。西暦1263年のことで、旧暦では弘長2年の11月28日にあたります。享年89歳で、当時としては随分と長生きしています。

 

昭和の後半くらいの頃は、70歳でもかなりの高齢者であって、腰が曲がって歯も減って、杖でもついているイメージでした。実際に当時の日本人の平均寿命も70歳そこそこで、60代で亡くなっても何もおかしくなかったように思います。

50代もかなりキテいて、磯野波平さんが54歳なのに老人っぽいのも、長谷川町子さんが執筆していた当時としては、54歳はあれで普通だったということです。

 

しかし今や還暦でも元気な小僧・小娘です。私の職場のシニアスタッフ軍団などは、いい年をして海外へ買春ツアーに毎年恒例で出かけていたものです。去年はコロナで行けませんでしたが。女優だと黒木瞳さんが60歳です。

 

今では無事に還暦を迎えた場合、平均して男は84歳くらいまで、女は89歳くらいまで生きることになっています。なお90歳まで生きられた場合は、男女とも平均してあと5年ほど生きるため、人生100年時代と言われます。

 

しかし死ぬまで元気で居られるわけでは当然ありません。平均寿命から健康寿命(=入退院を繰り返したり寝たきりになったりして人の介護や介助を受けること無く生活できる寿命)を引いた年数は、今は平均して男で9年、女で13年間もあります。それだけの期間、不自由で苦しい日々を過ごした後、死んでいくことになります。

 

長く生きていれば、体にあちこち不具合が出てきて当然です。遺伝子のコピーミスが蓄積して起こるガンは、長生きすればするほど出来て当然で、今や国民の2人に1人がガンに罹る時代になりました。


昔はガンになったら「終わり」でした。逸見政孝さんの会見はよく覚えています。しかし医療技術の進歩は目覚ましく、今やガンは治る(=死ぬまでに再発しない)こともあるし、再発を繰り返しながら付き合っていく病気になってきました。

 

具合が悪くてもじっと我慢し、いよいよになって病院へ行ったら末期がんでしたというパターンであれば割と早く逝けますが、体の調子が悪いとやはり病院へ助けを求めるのが人間です。病院側としても生かそうとしなければなりません。なので長期戦を覚悟しなければならないわけで、費用も掛かります。長生きを素直に喜べない時代になってしまいました。

 

またガンになったら、「ガンに効く〇〇茸」などの胡散臭い民間療法にすがってしまったり、波動アップしてガン細胞を消滅させるなどするスピリチュアル風の精神療法や手かざし新興宗教などにすがってしまう人が少なからずいます。私はそんな事よりもこれからの時間をどうやってより有意義にしようかと考えることに時間を使いたいものだと思います。