宗教や心のこと

宗教や心について、考えたこと

往生

祖母が亡くなったのは、数年前の冬の寒い日でした。延命処置をされて長いこと強制的に生かされていましたが、ついに亡くなりました。

戦時中と戦後しばらくは、苦労したと言ってました。戦時中は食糧難もありましたが、それよりも空襲が脅威でした。B29が上空を飛ぶので、夜は照明の光が命取りになります。その光を目がけてB29から焼夷弾が次々に落ちてくるからです。

空襲の時のB29の飛行音がいつまでも忘れられないと言ってましたが、当然でしょう。戦後随分経っても、夜に大きな音が聞こえると、慌てて照明器具を布で包んだのを覚えていると父が言ってました。祖父は動員されて出征していましたが、終戦後、命冥加にも生きて帰ってきました。

祖父と祖母は特に仲睦まじかったわけではありませんが、祖父が亡くなると、祖母は毎日仏壇の前に座り、供え物をし、お経や蓮如上人の御文を詠みあげるようになりました。月命日には、お坊さんに来てもらい読経してもらっていました。

晩年は認知症になって段々と何を言っているのか分からなくなっていきましたが、素朴で大雑把な人だったためなのか、阿弥陀仏の本願を信じられるかどうかで悩むことはありませんでした。死後は来迎にあずかり、浄土に往生したのでしょう。